魁!男塾のファンサイト

黄金期の「週刊少年ジャンプ」を支えた格闘アクション漫画の金字塔!

宮下あきら先生の代表作

1985年から1991年にかけて集英社の「週刊少年ジャンプ」に連載され、北斗の拳やキン肉マン、キャプテン翼などと並んで同誌の黄金期を支えた格闘アクション漫画の金字塔「魁(さきがけ)!!男塾」。

全国各地から手の付けられない不良少年を集い、戸塚ヨットスクールも裸足で逃げ出す徹底したスパルタ教育(というか虐待)のなか、切磋琢磨しながら成長していく主人公たちの栄光と挫折、そして友情を描いた傑作です。

ほかの漫画でもよくあるパターンですが、序盤では展開が定まらないためか、硬派路線とギャグテイストが入り交ざったストーリーが中心でしたが、ジャンプ巻末のアンケートはがきによるマーケティング分析の結果なのか、途中からは世界各国の格闘軍団とのトーナメント(天挑五輪大武會:てんちょうごりんだいぶかい)を描いた正統派のアクション漫画に模様代わりしました。

小学生だった管理人は毎週月曜日になると200円を持って書店へ向かい、当時は170円だったジャンプを買い、そのお釣りの30円でポテトチップスを買って、自宅で独特の印刷臭がする新しいジャンプを読んだものでした。あー懐かしい。

本作品が作者の宮下あきら先生の代表作はもとより、格闘アクション漫画の代表作にまでなった理由としては、強烈な個性で読み手をグイグイと引き寄せる主人公を15人も登場させたことが挙げられるのではないでしょうか?

登場人物が少なくすると、その分キャラ一人の登場回数が多くなり、それだけ掘り下げて描くことができるため、キャラに深みがでますが、ストーリーに幅が出にくく、ややもするとマンネリ化する恐れがあります。

一方、登場人物を多くするとそれぞれの人物の絡みでストーリーに幅を持たせることができますが、キャラ全員を満遍なく登場させるとなると、一人ひとりの個性が深く描ききれなくなるというリスクもあるはずです。

その点を絶妙のバランス感覚でまとめあげたのが「魁!!男塾」です。リーダー格の剣桃太郎を中心に、ギャグ担当の寅丸&富樫の漫才コンビ、顔はラーメンマンもその博識ぶりは今を時めく池上彰もビックリの雷電、「北斗の拳」のレイを髣髴とさせるルックスと華麗な空中戦で女性の心をガッチリと掴んだ飛燕。

さらに、生来盲目も研ぎ澄まされた心の目で闘う坊主ルックスの月光、死んだと思いきや得意のマジックによる錯覚だったというオチが定番の男爵ディーノ、拳で斬られた相手は即死してしまう毒手マスターの影慶、規律のなっていない塾生を全員惨殺するという「二・二六事件」を起こした赤石、初回登場時の身長は10m以上(モビルスーツ!?)で、男塾の帝王の異名を持つ大豪院邪鬼など、いずれも豚骨ラーメンのような濃厚なキャラばかりです。

管理人が特にお気に入りだったのは、「この世に斬れぬ物無し」と評される一文字流斬岩剣の使い手である強面キャラの赤石剛次。断崖絶壁で行われた天挑五輪大武會では、対戦相手と顔合わせが終わったばかりなのに、バッサリと地面を叩ききって、1コマで相手を崖ごと奈落の底に沈めるという荒業を披露しました。

そのほか、「彼があと1人いたらアメリカは(太平洋戦争で)敗北していただろう」と米国大統領に言わしめた塾長の江田島平八(格闘ゲーム「鉄拳」の三島平八のモデル?)、ヒマラヤ奥地にある史上最強拳法の本山で密業に成功した格闘坊主集団の 厳娜亜羅十六僧(ガンダーラじゅうろくそう)、 古代ローマの格闘術を会得した淤凛葡繻十六闘神(オリンポスじゅうろくとうしん)、中国の梁山泊十六傑など、読者の想像を上回る敵キャラ&武術を次々登場させました。

随所で登場する民明書房の引用を信じてしまった読者が続出!

ネタを集めた全集も出版されました

男塾を語る上で絶対に欠かせないのが、漫画の随所に「イミダス」的な役割で登場してくる謎の出版社「民明書房」が刊行する数々の本です。書店に行って「民明書房の本はどこですか?」と訊いた人も少なくないはずです。

登場パターンとしては、まず敵キャラが異様な技の構え、あるいは見たこともない武器を出したときに、物知りキャラの雷電が眉間にシワを寄せて「…! こ、これは…!!!」といった顔つきになります。

そして、険しい雷電の表情に気づいた他の塾生が「どうした雷電? 顔色が悪いぞ…」となって、その秘術や武器についてのもいかにももっともらしい解説が始まるのです。締めの文章は必ず「民明書房刊 ○×△(書名:中国古代吃驚医学大鑑 など)」となります。

例えば、頭部に強力なスプリングを仕込んだ兜・跳蚤器(ちょうそうき)を装着し、足を使わずに逆立ちの状態でピョンピョンと縦横無尽に飛び回るキャラが登場したときに引用された書籍は「中国武具−その創造と継承−」。

いかにも実在しそうな書名ですが、肝心の引用文は…『中国歴史上の並いる英雄・豪傑の中でも勇名をはせた東門慶将軍が発明したとされる。東門慶将軍は背が低かったが、それを補うため頭上からの攻撃の有利さと敏捷性を得られる。この跳蚤器を考案し大いなる戦果をあげた。当然のことながらこの跳蚤器を使うには強靱な筋力と卓越した均衡感覚が必要である。ちなみに現代でも男子生誕の際、螺旋状の麺を頭上に載せて勇敢に成長するよう祈願する風習があるのはこの名残りである。』

どうですか、うっかり信じてしまいそうなこの文章(笑)。特にラインを引いた部分が秀逸ですね。ネットが全くなかった当時、小・中学生にとって漫画も貴重な歴史や一般常識の教科書だったのですが、実写並の豊富な挿絵の影響もあり、大勢の読者がこの民明書房の本を実在のものと勘違いしてしまいました。

なかでも棍棒を振り回す中国の遊戯が「ゴルフの起源=中国説を有力にしている」としたため、専門家からはジャンプの編集部に苦情が、読者からも問い合わせが多くあったようです。連載が続いていたなら「蹴鞠が得意だった今川氏真が創始者となって全国の諸大名の間に広めたのが、今日のサッカーの起源である。」とか書いたかもしれません。

また出典の出版元がいつも同じではリアリティに欠けると判断したのか、太公望書林刊の「眼球大脳生理学」や「ギリシャ神話に見る現代人への教訓」をはじめ、英学館、中津川大観著 時源出版刊「偉大なる中国拳法」などを登場させています。もちろん、いずれも存在しない創作の出版社ですが(笑)。

娯楽性をストレートに追及した作品が減ってきました

近年の漫画は大人向けの作品を中心に医療や福祉、法律などの問題を絡めた社会性の高いものが増えていますが、その一方で手軽にサクサク読めて「スカッ!」とした読後感を味わえる作品が減ってきているように思えます。

ただ単に面白いだけでは良しとせず、作品自体に様々な付加価値が求められるようになり、漫画の社会的な地位は以前と比べて随分高くなりました。しかし、テーマに隠されたメッセージ深読みをすることもなく、「魁!!男塾」のように娯楽性をストレートに追求した作品を描くことも漫画家の重要な役割だと思います。

水木しげる先生の後、文化功労賞を受賞しそうな漫画家は実績から考えると「ゴルゴ13」のさいとうたかを先生が有力だと思いますが、宮下あきら先生にも是非受賞してもらいたいですね。

なお、本作品の続編は「暁!! 男塾」というタイトルで2001〜2010年の「スーパージャンプ」誌上で200回に渡って連載されました。昔は漫画雑誌を読んでいたけど、社会人になってからはすっかりご無沙汰という方は、この続編の存在自体を知らないかもしれませんね。「北斗の拳」をはじめ往年の名作の続編が相次いで連載される中、本作品はストーリー展開や作風もそのまんま受け継いでいますので、少年時代に胸を熱くしたかは是非、ご一読ください! また、2008年には主役兼監督にアクション俳優の加藤拓を起用した実写映画化作品も製作されました。

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